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『Reincarnation of Starry-Chant』ライナーノーツ

こちらは、2023春M3新譜『Reincarnation of Starry-Chant』のライナーノーツページです。
各曲のネタバレを含みますのでご注意ください!

アルバム全体の紹介記事はこちら↓

それでは以下、ライナーノーツ(空華オキside)をお楽しみください!
Ishikawaさんsideはこちらから

Tr.1 Eclipse Revenge

アルバムの1曲目となる「Eclipse Revenge」は、まさかの開幕からの変拍子!幻想的な気配の漂う5拍子ロックの楽曲です。
Eclipseは月蝕、Revengeは再起を誓うくらいの意味合いです。
こちらは作詞を私が、作曲をIshikawaさんが担当しています。

この「Eclipse Revenge」は、Ishikawaさんが作曲した同名のインスト曲が原曲で、それを歌モノ楽曲に改めて制作し直したのが今回収録した楽曲になります。
実は、インスト版ができた時にはIshikawaさんは全く歌モノにする気はなかったそうなのですが、インスト版の原曲を聴いた私がとても気に入ってしまい、なんやかんやでアルバムの開幕を飾るまでになってしまった楽曲です。
(NEOKETで原曲インスト版をお手に取ってくださった方は、ぜひ聴き比べていただけましたら…!)

そうなんです、この曲、原曲がインストなんですよ…人間が歌うことを想定していない…。
なのですが、やっぱり原曲の良さをできる限り活かしたいな、と思ったので、キー変更だけさせていただいて、基本は人間が楽曲に合わせるような感じで頑張らせていただきました(笑)
ただ、元々インスト版になかったはずのABメロ、特に1番のAメロが私にとってはあまりにも難解で…作詞を担当していなかったらもしかしたら歌えなかったかもしれない…と本気で思ったりもしました…いい曲なんですけどね…(一方で、私はIshikawaさんが削ろうとしたサビの細かい音符を死守しました)(お互いに特に容赦はしないnil-Glass)

さて、作詞についてですが、すでにお話したとおり、こちらの楽曲には原曲の時点で「Eclipse Revenge」というタイトルがついていたので、このタイトルを踏襲する形で構想を考えていきました。
普通、月といえば美しくて清浄で包み込むような安らぎのイメージ…かと思うのですが、前々作のアルバムに収録した「The Lunar Night」という楽曲で、それらに加えて「人々を善意で救おうとする神性(なお救うためには滅ぼすことも厭わないものとする)」を持つ月を描いたので、その月に対するリベンジ、のような意味も込めながら歌詞を考えていきました。
「The Lunar Night」では最後の審判というか直接的な滅びの瞬間が舞台だったのですが、今回はもっと内面的な対峙、という感じです。
(なので続編といいますか、関連曲みたいな立ち位置かもしれません)

どうしようもない暗闇に迷って、月に招かれた常夜の国、その安寧の中で永久に眠るのか、それとも――。
きっとその時に掲げる力になるのは、綺麗なものだけではなく。

この曲は私が作詞して私自身が歌う楽曲であることと、5拍子や楽曲構成との真剣勝負もあり、テーマもテーマだったので、今自分が一番歌いたい言葉を比較的そのままの純度で書けたのかな、という気がしています(いつも通り作詞自体は難航しましたが…)。
あの…その代わりにだいぶ…表現が難解になってしまったのは…許してください…。。。笑

そんなこの楽曲の世界を、イラストのさんが大変見事に表現してくださっていますので、こちらもぜひブックレットの歌詞ページでご確認いただければと思います!
私、このイラスト、ほんと大好きなんですよ…。最初に拝見したとき、楽曲理解に対するあまりの解像度の高さにヒッってなりました…(そして絶対にワンポイント扱いにしないぞと決めました笑)
どうしてこんなに伝わるんだろう…ありがとうございます…。

ちなみに私は、今作の4・5曲目にご参加いただいたらずりPの「ユメノヒト」という楽曲が大好きなのですが(らずりPの2023年春M3新作『Story Box -幽遠の闇-』にフルが収録されています)、「ユメノヒト」的な世界を私が描いたら、というのも密かな作詞の裏テーマだったりもしました。作詞時点ではワンコーラス版しか公開されていなかったので、あくまでワンコーラス版での印象ですが…。

なお今回のアルバムでは、唯一この曲だけバイオリンを弾いていないのですが、ストリングス音源のシンセ的なサウンドが月の光が降り注ぐような感覚があってイメージととても合っていて素晴らしかったので、私からIshikawaさんに音源のままで行かせてください、とお願いした経緯があったりします。
(Ishikawaさんは「月といえばバイオリン!」ということで弾いてもらいたかったそうなのですが…笑 ちなみに私は月といえばピアノのイメージです🌙)

この「Eclipse Revenge」、Ishikawaさんのギター(特に間奏!)もとってもとっても格好いいので、ぜひそこにもご注目いただけたらうれしいです!

Tr.2 彷徨の地平 feat. ming-zi

2曲目の「彷徨の地平」は、ゲストボーカルのming-ziさんとの、ジプシー風ツインボーカル曲です。
こちらは冒頭のコーラスパートの作詞をming-ziさん、全体の作詞をIshikawaさんが担当しました。作曲はIshikawaさんです。私はバイオリンもほぼ全編にわたって弾かせていただきました。

ming-ziさんとは、私もIshikawaさんもそれぞれ楽曲でご一緒させていただいたり、ming-ziさんが所属されているVolteXture Recordsさんの企画である『HITOKU COMPILATION』にnil-Glassとして参加させていただいたりと、これまでにも色々な形で交流をさせていただいていたのですが、今回、満を持してゲストとしてお招きする形となりました!

ming-ziさんは、ありがたくもnil-Glassの前作『Unpaged Magical Night』を聴いてくださっていて、その中でも特にミドリノハサミさんとご一緒した「月明かりの魔法」という楽曲にお褒めの言葉をくださっていたのですが、その時にバイオリンと歌の雰囲気について「ジプシー系かバイキング系の曲が合いそう」と言っていただいてですね…それならming-ziさんと一緒にツインボーカルでやるしかあるまい!ということでお声かけさせていただいたのでした(軽率に実現させていこうとする人たち)。

ming-ziさんとご一緒するにあたり、上記をふまえながらどんな楽曲にしていこうか、ということでIshikawaさんと色々アイデア出しをしたりしたのですが、ming-ziさんのお声の美味しいところをたくさん堪能できる曲にしたい、ということで、2パートある利点を生かしつつ、比較的低音寄りの部分の多い楽曲構成に仕上がりました。
特に、中盤のming-ziさんの超低音ソロパートは必聴です…!!!(ここ、私本当に大好きなんです。。。)

ming-ziさんは声域が広い方なので、超高音域のお声もとても魅力的で迷うところではあるのですが、、、以前らずりP楽曲の歌ってみた「『Story BoxⅡ』を11人で歌ってみた」でご一緒した時の低音のお声がとっても素敵だったので、私の欲望で今回は低音推しになりました!!!
でもオキさん、途中でパートが逆転することをすっかり失念していたんですよね…あれっ、私も低音歌わないといけないのでは…???(策士策に溺れる)

もうね…本当にming-ziさんのお声最高なんですよね…。
収録はming-ziさん先行だったのですが、ming-ziさんには歌い方については全く細かいディレクションはせず、思うままに歌ってください、とお願いしました。
そしたらこのお歌ですよ…濃厚で芳醇で香り立つような、それでいて幽玄さもあって、なおかつ説得力もある……ソロでも、さらに言うならアカペラでも十二分すぎるこのお歌と対等に歌わないといけないだなんて…私ぜんぶハモじゃだめですか…めちゃくちゃ頭を抱えました(笑)

どうやったらこのming-ziさんの世界と一緒になれるかということを考えて、それにはまず自分のリズムの取り方から変えていかないといけない、というところから始めて、ming-ziさんの表現にどう応えていく歌がいいだろうと考えながらチャレンジをしてみたのですが、いかがだったでしょうか…?
私自身としては、これまでになかった自分の表現の境地をming-ziさんとの掛け合いの中で引き出していただけたな、と思って、とてもとても幸せな時間でした!(あれっ、私ばかり得をしている気がする…)

そして順番が前後してしまいましたが、冒頭のコーラスですよ!
この部分は最初、私とming-ziさんがそれぞれ2パートずつを担当する計4本でのコーラスの予定だったのですが、ming-ziさんからのご提案でせっかくならコーラスを厚くしたい!ということで、それぞれ4パート2本ずつ計16パートの多重コーラスになりました!
いやもう本当に、ming-ziさんのご提案がなかったらと思うと…一緒に楽曲作りをしてくださったことに感謝の気持ちしかありません。。。
ここのming-ziさんの歌声も最高で…エスニック感のあるお声をぜひぜひご堪能ください!

このコーラス部分の作詞もming-ziさんがご担当くださったのですが、歌詞の意味がですね、”The stars shine even during the day.”だそうなんですね。
私、このフレーズが本当に好きで…今回のアルバムタイトル案を出したのは私なのですが、アルバムタイトルに「starry」が入ったのはこの歌詞の影響もかなりあったりします。

冒頭のコーラスといえば、実はここでもバイオリンを弾かせていただいているのですが(後ろで小刻みにだかだかしているやつです)、今まで私、トレモロ奏法やったことがなかったんですよね…。せいぜい近しいのがヴィヴァルディの四季の「夏」(第3楽章)くらいで…。
Ishikawaさんからもらった音源を聴いた時に「ここに来て初めての奏法か…(どうしてくれよう…)」と思ったのですが、なかなか良い感じで雰囲気作りに貢献できたのではないかしら…?と思いつつ…(どうだったでしょうか…?笑)
Ishikawaさんもアコギが大変そうだったので、ここは痛み分けということで。。。笑(でもこの曲のアコギ、本当にいいんですよね…)
「彷徨の地平」のバイオリンは、割とどこも気に入っている箇所が多いのですが、ラストのアウトロのところはかなりいい感じに表現できたのではないかなあと思っています!

この曲の作詞はIshikawaさんなのですが、ツインボーカルものの作詞は初めて(前回の「月明かりの魔法」は真雪さん作詞)と言ってらしたにもかかわらず、歌っていてとても気持ちの良いフレーズと歌詞割りで、本当に天は何物も与えるんだなあ…と改めて思っていました(笑)
ちなみに、哀愁の中に力強い決意も垣間見える味わいのある歌詞ですが、Ishikawaさん的にはming-ziさん→旅人、私→ねこの1人と1匹の旅路なのだそうです(イラストの千さんにもばっちり反映していただきました!)。
何処へ向かう旅路なのかは…きっとIshikawaさん側のライナーノーツに書かれていることでしょう(たぶん)。

返す返すも、今回「彷徨の地平」でming-ziさんとご一緒できたことは本当に幸せだったなあ…と、マスタリング音源を聴いている今もなお強く感じています。
またming-ziさんとご一緒できる機会があったらいいなあ、と心から思いつつ…!(今度はどこの音域を推そうかしら…笑)

Tr.3 EndlesX Rexxcarnation

3曲目の「EndlesX Rexxcarnation」は、まさかのゴシックロック風V系メタル楽曲になりました。何て読むかぱっと見全然分かりませんが、「エンドレス リインカーネーション」と読むらしいです(消されている文字を合わせると…???)
こちらは、作詞作曲ともにIshikawaさんが担当しています。

今作の構想を練り始めた初期段階から、Ishikawaさんがゴシックロック調の楽曲を1曲やりたいと言っていて、「まあ『再生』するためには一度滅びないといけないしなあ」などと思いながら話を聞いていたのですが、最初に上がってきたラフを聴いた時の率直な感想は、「えっ、これ私が歌うの????」でした…😇
いやいやいや、私の声質でこれやるんです???むしろ男性ボーカルとかのほうがよくはない?????(Ishikawaさん歌う?????)…みたいなことをだいぶ言ったりはしたのですが、手ごたえが非常に暖簾だったんですよね……歌いました(笑)

この楽曲、表現をつけるのが難しいんですよね…この楽曲のテーマは浄罪と輪廻になると思うのですが、歌詞的には結構内面的で、強い言葉は使われつつもあくまでその感情が内向きなので、あまり勢いに任せて激しく歌うのも違うなと思いつつ、一方で重みもしっかり出さないと曲調に負けてしまって背負ったものも出ないし、サビでは少し高めの音で盛り上がりのフレーズ的なものがあるのでそこはしっかり決めたいし…などということを考えながら、今のような感じになりました。
正直、今回の6曲の中で「彷徨の地平」と並んで歌い方に苦戦した曲だと思います。。。

ちなみに、千さんに描いていただいたイラスト(これがまた私の癖に直撃して、初めていただいた時に大騒ぎしたのですが笑)では罪の象徴がばっちり描かれていますが、直接的に罪を犯してしまったのかどうかは一応ご想像におまかせします、ということになっています。
でもこのバッドエンドみのあるこの…手…絶望感…最高ですよね…。千さんのイラストはどちらかというと柔らかな光の印象が強かったので、このイラストを見せていただいた時にものすごい衝撃が走ったことを覚えています。

そういうわけで(?)、歌としてはなかなかチャレンジングな感じになった「EndlesX Rexxcarnation」ですが、本当にこの曲格好良いんですよね…Ishikawaさん一体ギター何本重ねてるんだろう…。
バイオリンも曲調に負けないよう、迫力感と優美さみたいなところを両立できるように頑張ってみました!
個人的にはラスサビ前の間奏の、ギターソロからバイオリンソロに受け渡される流れがとてもお気に入りです。ここ、Ishikawaさんのギターも凄くいいんですが、我ながらよくギターと同じテンション感で弾けたなあと思いつつ…。

ちなみにこの楽曲の作詞はIshikawaさんなのですが、前述の「Eclipse Revenge」の作詞期間中に、あ~~~~思いつかない~~~~と大難航していた私が、気分転換に突然全然関係ないフレーズを書いてIshikawaさんに送り付けていたんですね…

あの日の罪を僕は覚えている
僕だけが見る朝焼けを君は赦してくれるだろうか
果てなく続く輪廻の涯てにまたいつか君に逢えたら

気付いたらばっちりこちらの楽曲のテーマとして採用していただいていました😊
(全くそのつもりはなかったので、初めて「EndlesX Rexxcarnation」の歌詞を見た時に「知らない曲なのに知ってる~~~~!」とめちゃくちゃ笑いました)

でも私ではこんなに楽曲の雰囲気と合った展開はさせられなかっただろうな、と思います…どこの部分の歌詞も凄く良くて…Ishikawaさんに作詞してもらえて本当に良かったなあとしみじみ感じています。

ところでこの人たち、歌詞にまた「月」を出してきましたね…???(笑)

Tr.4 イーサラーザ

さて、バッドエンドみの強い楽曲が終わりまして次は…?というところで、突然のほのぼのハートフルポップ、「イーサラーザ」の登場です!(笑)

この「イーサラーザ」とその次の「双花祈譚」は、IshikawaさんとらずりPの作編曲交換コーナーになっておりまして、こちらの「イーサラーザ」はIshikawaさんが作曲した楽曲をらずりさんが編曲&作詞してくださった曲になっています!

そもそも、全く作る音楽の方向性が違う2人がなぜこんなことになったかと言いますと…。
時はさかのぼり、昨年(2022年)の夏…、夏コミに出展していたらずりさんのところに私とIshikawaさんで遊びに行ったのですが、その時に私とらずりさん、私とIshikawaさんはそれぞれ一緒に作品を作ったことがあるけど、らずりさんとIshikawaさんはないよね、とか、オキさんとIshikawaさんの作品制作の中での応酬は、結局のところ作曲とボーカル(とバイオリン)という関係性の中でなので、作曲家同士でもっとバチバチに(楽曲で)殴り合いをしてみたら面白いんじゃない?、などという感じに話が盛り上がり…、民族調とバンドサウンドという全然違う音楽を基盤にする人たちが作編曲交換したらどうなるんだろう???というわけで、今回の話が始まりました。

いやでもまさか、本当に実現するとはその時は私もまだ半信半疑だったのですが、秋M3の後にがっつり会議をして具体的な担当が決まり…いやらずりさんすとぼ新作は…???と思いながらも走り出したのでした(笑)

「イーサラーザ」の作曲側はIshikawaさんだったのですが、まさかの出してきた楽曲が7拍子!
私はですね、原曲はもう何度聴いてもフレーズ感がわからなくてですね…完全に「らずりさん助けて~~~~!」と縋るような思いでした😂(実は個人的に7拍子は割と苦手な部類の変拍子だったんです…完全に作曲家同士の殴り合いに巻き込まれるオキさん…)
ちなみにIshikawaさんの原曲は、確かに音形的な要素は編曲後にも受け継がれてはいるのですが、キーも違い、哀愁感ある夕暮れ、というような印象でした。

そこから爆誕したのが、まさかのハートフルポップな「イーサラーザ」!
しかもらずりさん編曲ということで、バイオリンパートも盛り盛り!
本当はらずりさんの当初の思惑としては私とIshikawaさん(一応電子バイオリン所持)の2人で弾かせたい、という目論みだったそうなのですが、後述の理由でIshikawaさんがちょっとバイオリンをチャレンジする余裕はない、ということだったので、一人二重奏(らずりさん曰くオキ×オキ)をさせていただきました。
らずりさんの書かれるバイオリンパートは、比較的バイオリン的にすぐ「わかる」感じのフレーズをいただくことが多いのですが、それでもなお7拍子の魔の手には打ち勝てず…(笑)
特に二重奏パートは構造を理解するのにだいぶカロリーを要したなあ、と思います(一体誰が7拍子にしたのかしら…笑)

それでですね、この曲のもう一つの、というかこちらがメインのらずりさん、そして私の思惑だったのですが…。
Ishikawaさんにも今回、歌ってもらいました!!!!やったー!!!!(作曲家を歌わせることに定評のあるオキさん)
元々の秋M3後の企画会議では、架空言語でコーラスを歌ってほしいですよね、というようなことを話していたのですが、蓋を開けてみたら全然コーラスパートじゃないじゃないですか!しっかりソロパートですね!らずりさんさすが!!!
しかも、曲の最後をIshikawaさんが締めるという大変な重荷を背負わせてしまったのでした😊(途中で私がいなくなってしまうことを指して「また次の冬で~!👋」というのが3人の間で流行りましたwww)

「イーサラーザ」には、千さんが少女とイーサラーザちゃんのとっても素敵なイラストを描き下ろしてくださったのですが(イーサラーザちゃんもふもふ)、Ishikawaさんが元々バンド畑出身ということで気を抜くとすぐにロック寄りの歌い方になりそうになっていたので、「もっとイーサラーザちゃんの気持ちになって!」などと言ったりもしていました。
その結果、Ishikawaさんが「イーサラーザ」しか喋らなくなったこともあったり…うっ頭が…(笑)

そんなこんなで面白おかしく制作していた「イーサラーザ」ですが、原曲はIshikawaさんらしさ満載ながら、冬から春に移り変わるわずかなひと時のやわらかで澄んだ空気感として見事にらずり節に昇華していただいたのには、本当にお見事!と唸らされました…!
私のボーカルパートでは、できるだけこの空気感と、少女ちゃんの透明でしなやかな感性を表現できたら…と思い、普段よりも力強さを抑えて少女感に寄せた歌い方をしてみました。
らずりさんの詞のおかげもあり、事前に想定していたほどは苦戦しなかったのですが、それでも7拍子のフレーズをいかに無理なく自然に聴かせるかというところにはかなり重点的に意識を置いていました(一体誰が7拍子にしたんでしょうね…)。

ところで、イーサラーザちゃんの公式設定は、歌詞の中にあるものだけが全てなのですが…なんだか想像が広がってだんだん可愛らしく思えてきませんか?(笑)
ぜひぜひ聴いてくださったあなたの好きなように、自由にイーサラーザちゃんとの冬のひとときを愛でてあげてください!❄

らずりPによる「イーサラーザ」の裏話ページはこちら!

Tr.5 双花祈譚

さて、こちらの「双花祈譚」はらずりPとの作編曲交換の2曲目で、らずりPが作曲、Ishikawaさんが編曲を担当した楽曲になります。作詞は私が担当しました。ちなみに「そうかきたん」と読みます。
ジャンルとしては中華ファンタジー楽曲…だと思うのですが、えっ、中華?らずりPとIshikawaさんのこの2人のどこから中華がでてきた…???

らずりPの原曲は、今聴くと確かに「双花祈譚」の要素があるな…という感じではあるのですが、最初に聴いた印象は完全にらずりさん!!!という感じのピアノメイン楽曲だったんですね(あと、フレーズ感もすごくピアノ的だなと思いました…細かい音形と跳躍がいっぱいで人間が歌えるのかしらとドキドキしたり…でもそこがフレーズの魅力でもあるので、最終的にはほとんどそのまま生かしてもらったのですが…笑)。
それで、その当時のイメージとしては、やはりらずりさんお得意のダークファンタジー的な雰囲気があって、どちらかいうと洋の気配、湿度が高くてほの暗いところに蔦が覆った屋敷のようなものがあって、そこに閉じ込められた誰かが…というような妄想を膨らませていたのですが…。

Ishikawaさんから戻ってきたアレンジを聴いたところ、知らないイントロが…。えっこれすごく中華…(最終版でギターが弾いているフレーズです)。
このイントロを聴いた時に、悠然とした山野や流れゆく大河のビジョンが浮かんでしまい…。ここのイントロを無視してしまうとすれば、最初に聴いた印象のまま作詞ができるな…と思ったのですが、、、どうしてもこのイントロの印象を無視することができなかったんですね…。
Ishikawaさん、なんて強いフレーズを投げ込んでくるんだ…(再び作曲家同士の殴り合いに巻き込まれるオキさん)
だいぶ悩んだ末、編曲でどう変わるかというのも今回の面白みの1つだよね、、、ということで、もう思い切ってこのイントロの流れに身を任せてみることにしました。完全に白紙に戻ってしまった…(笑)

今回はらずりPの原曲を私が作詞させていただく、ということもあったので、物語楽曲的要素はできれば入れたいと思っていたのと、イントロから中華要素を入れたい、というところから考えて最初に出てきたのが「今こそこの生命還そう」というフレーズでした。
当初は、仙人と人間(子ども)がいて、仙人が何らかの理由で子どもから命を借りて、事を成し遂げたあとにその命を返しにくる…というようなストーリーもほんのり考えていたのですが…Bメロ(でいいんでしょうか)、特にラスラビ前の箇所のこの決意ともいえる重さのイメージにどうしても当てはまらないような気がして、今の姉妹のお話になりました。
(あと、折角らずりPの楽曲を作詞するなら、物語を楽曲の中で解決させたくなかったんですよね…笑)

お話の筋は、歌詞中から伝わっていたらいいなと思うのですが(物語を歌詞の中で説明的にならないように描くのが本当に難しかったです)…世界の希望として神になることを定められてしまった妹と、その妹のために代わりに神になった姉のお話です。
神となった姉を追って輪廻を繰り返す妹、輪廻の果てに偶然妹の命を再び救った姉、二人が出会ったとき、その願いはそれぞれ違っていて――というのが大まかな流れです。
(ちなみに「終焉の剣」についてですが、作詞当初はお姉ちゃんは尸解仙的な感じで神さまになっていて、肉体は昇仙?後も残っていて、その本来の身体由来の剣だけが唯一神たる身体を傷つけられる…というようなことを考えていたりしました。でも、文字通り「消えてしまった」ほうがきれいな気もするので、なんかすごい霊剣くらいの位置づけでもいいかもしれません…)

ブックレットの千さんのイラストでは、左側がお姉ちゃん、右側が妹ちゃんになっています(ちなみに、歌詞もそれぞれに対応するように配置しています)。
ここまでで、だいぶ自分の中では中華寄りのイメージで作詞をしていたつもりではあったのですが、歌詞だけではまだ中華ファンタジーとは断定しきれない…ところを、私の詞と物語のイメージを汲み取ってくださって、最高の姉妹を描いていただきました。
神としかお伝えしていないのに、仙人や天女に近いイメージでお姉ちゃんを描いてくださった時には、本気で千さんに脳内を覗かれているかと思いました…ヒトならざるモノ感がもう…至高すぎます…。
あと、ちゃんとお姉ちゃんと妹ちゃんの漢服の年代も違うんですよ…(お姉ちゃんのほうが古いそうです)。
それでいてよく見ると同じようなデザインのお花の髪飾りをしているという…エモみが…エモみがすぎる…。

そしてこの千さんのイラストを受けて、突然Ishikawaさんのインスピレーションが全開になり…ピアノメインだったはずの楽曲が、めでたく中華ファンタジーに生まれ変わったのでした。。。
その過程で間奏のバイオリンパートも追加になったのですが、ここはバイオリンながらも疑似的に二胡をイメージできるような感じを目指して弾かせていただいています。

歌については、1番と2番…というよりもお姉ちゃんと妹ちゃんのパートで歌い方を変えています(ラスサビ前は前半がお姉ちゃん、後半が妹ちゃんです)。
お姉ちゃんのほうはやわらかいイメージ、妹ちゃんのほうが意志のあるイメージにしています。
本当は2人で歌ったほうが雰囲気が出るのかも…とも思ったりもしましたが、らずりPの曲なので声帯分裂するのもまた乙なものかな…と思い、1人で頑張らせていただきました!(らずりPの歌ってみたコンピ『Lazward Collection』は、1人で複数役をこなしている歌い手さんが多いことから「声帯分裂コンピ」という異名があります…笑)。

ちなみに途中のlalalaの箇所は、元々は右側から聞こえるパートしかなかったのですが、姉妹が歌い交わしているような感じにしたい、ということでIshikawaさんにお願いしてパートを増やしていただきました。
ちなみに右側が妹ちゃん、左側がお姉ちゃんのイメージで歌っています。
ヴォカリーゼ部分は私に歌詞を任せていただいていたので、一番いい音はどれだろう、と模索しつつも、思うままにのびのびと歌わせていただきました。

というわけで、だいぶ話もとりとめもなくなってしまいましたが…らずりさん→Ishikawaさん→私→千さんの創作リレーにより生まれた双花祈譚、ぜひお楽しみいただければ嬉しいです!

Tr.6 揺り籠の祈り

これまでの5曲をめぐる命の旅路、その最後を締めくくるのは、久遠真雪さんに作詞でご参加いただいた「揺り籠の祈り」です。
こちらの作曲はIshikawaさん、私はバイオリンも担当しています。

アルバム中では最後の収録となった「揺り籠の祈り」ですが、実は全6曲のうち、最初に制作した楽曲でもありました。
この楽曲の制作が始まったのは秋M3が終わってすぐのことで、まだ「再生」というテーマしか決まっていないような、そんな段階で真雪さんに打診させていただいたのですが、快くお受けいただけて、詞先で本当に素晴らしい歌詞を書いていただきました。

「再生」とテーマを定めながらも、どうしても我々は永劫の輪廻だとか、暗闇からの再起だとか、そういう方向に発想が飛んで行ってしまいがちなのですが(笑)、真雪さんは本当に真っ直ぐに「再生」というテーマに向き合ってくださって、非常に大きな愛、全てをみつめる眼差しからの再生を描き出してくださいました(真雪さんによるご紹介記事はこちら!)。
この詞をいただいて、我々の中でもアルバムの方向性が見えたような気がしましたし、この楽曲があることで、むしろどんな「再生」を描いてもいい、という、それこそ懐の大きな何かに導かれたような気もしました。

何があったとしても、等しく愛は降り注ぎ、煌めきを取り戻して、新たに命は生まれる――この楽曲がアルバムの最後に位置づけられたのは、もはやある意味で必然だったように思います。

そういうこともあって、実は千さんにジャケットイラストをお願いする際に、「Eclipse Revenge」か、この「揺り籠の祈り」のどちらかのイメージで描いていただきたい、ということでお願いをしていたりしました。
その際にラフ案として出していただいたのが、今のジャケットイラストのイメージと、もうひとつ、現在「揺り籠の祈り」の歌詞ページに掲載されているイラストでした。
よく見ていただくと、どちらも「奇跡の芽」を抱いていることに気付いていただけるかもしれません。
それをふまえてもう一度ジャケットイラストを見ていただくと…このアルバムにとっての「揺り籠の祈り」の存在の大きさを感じていただけるのではないか、と思います。

さて、この大きな大きな愛の世界ですが…詞先ということもあって、Ishikawaさんのインスピレーションとフレーズ感が普段に増して先鋭化され…歌う側の視点としてはなかなか大変な楽曲が誕生してしまったのでした。
まず最初ですが、聞いてください、伴奏が「ジャーン」しかないんですよ(笑)しかも1番の間はずっとピアノと1対1で歌わないといけないという…。試されてるのかな???とめちゃくちゃ思いました😂
リズムも若干難解な箇所があって、オシャレな転調もして、音域も2オクターブ近くあって…それでいて規模感と抱擁感も出さないといけない???なんと無理難題を…、と思っていたのですが、オキさんならできる、と言っていただいたので頑張りました…!
その甲斐もあって、ラストにふさわしい歌になったのではないかな、と、改めて今聴いて思います。

ちなみに、1番は静かな慈愛の気配を、2番以降はより命の芽吹きを感じさせる愛を目指して表現してみました。
Twitterで0.2dbのためにオートメーションを書いてもらった、と言っていたのも実はこの曲だったのですが、この差を出せたらいいなあと思っていたんですね…(実際に聴いていただいてどうかはさておき…笑)

先ほどはテクニカルな面から色々と書きましたが(笑)、「揺り籠の祈り」での真雪さんの歌詞とIshikawaさんの楽曲は本当に抜群の相性だと感じていて…特に「ただ在るがまま あなたの灯をともして」のところが、音形も相まって本当に好きなんですよね…
(実はここ、あまりにも好きすぎて、全体のアルバムのキャッチフレーズにも一部引用させていただいたりもしていました)。
その他の箇所も、一行ずつ、どのフレーズも、やさしくて、あたたかくて、光にあふれていて、こんな楽曲を歌わせていただけることの幸せを、今、心からかみしめています。
少しでもこの気持ちを歌や演奏でお返しできていたらいいな、と思いつつ、今回のライナーノーツはこの辺りで筆を置かせていただきます。

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