こちらは、2024秋M3新譜『リベルタス -Laidback crew, make sail!-』のライナーノーツページです。
各曲のネタバレを含みますのでご注意ください!
アルバム全体の紹介記事はこちら↓
それでは以下、ライナーノーツ(空華オキside)をお楽しみください!
【Ishikawaさんsideはこちらから】
アルバム全体のおはなし
Ishikawaさんとやっている概念ゆるふわユニット、nil-Glassも、ついに今作の『リベルタス』で7枚目の(ミニ)アルバムのリリースとなりました。ずいぶんたくさんの作品を作ってきたものですね…。
というわけで、今作のライナーノーツを始めていきたいと思います。
今作はこれまでの作品とは若干作り方が違うところもあるので、そのあたりのお話も含めてしていけたらと思います。
まず、今作の『リベルタス』ですが…、実は「ゲスト先」ともいえるような形で企画が進行した作品なのでした。
今作は、ツインボーカル曲にボーカルゲストとして夕季森灯さんをお招きしたのですが、企画の骨子ができる前からご一緒させていただくことが先行して決まっていたので、であれば夕季森さんの魅力を最大限に発揮できるような設定や作品構成にしよう…ということをnil-Glassは企み始め…。
そうなると、夕季森さんとこれまでにも沢山の作品作りをされている、最も夕季森さんのことを深く知り、その歌声を愛している(と言っても過言ではないと私は思っています)糸織貝さんにアートワークをお願いすることになるのは、きわめて必然の流れであったのでした。他の方は考えられなかったんだなあ…。
お2人からご快諾をいただけた時点ですでに大満足だったnil-Glassですが、ここでnil-Glass、またおかしなことを考え始め…。
nil-Glassの前作のアルバム『Bar Bijou Étoile』の制作を経て、我々、気づいてしまったんですね…。
絵師さんとじっくりコトコト一緒に楽曲世界を作り上げていくことの楽しさに…。
通常、特にアルバムジャケットのイラストなどをお願いするような場合には、こういった世界観があって、こういうイメージで、この曲のこういうシーンをイラストにしてください…というように、あくまで依頼というか、オーダーというような形でお願いすることがほとんどだと思うのですが、前々作の『Garden of Nature Piece』やボカデュオの「レヴァリー」など、いくつかの作品で糸織貝さんとご一緒する中で、もっと糸織貝さんが持っていらっしゃる世界そのものとコラボしたい、糸織貝さんが描きたいものを描いてほしいという欲が高まりに高まり、なんと作品の世界観設定をイラスト担当の糸織貝さんに考えていただく、という超ド級の贅沢な「お願い」をさせていただくことに…!
そこから、夕季森さんや私の声、Ishikawaさんのサウンドをふまえて糸織貝さんが導き出してくださった世界が、「船上楽団」という今作の舞台なのでした。
その「船上楽団」というキーワードから、世界観設定を広げ、各曲のシチュエーションを糸織貝さんとも一緒に考えていったこの『リベルタス』。
そう、実態としては、どっぷりどこまでも糸織貝さん×nil-Glassのコラボレーション作品なのです…!
さらに作詞の久遠真雪さんやcataclecoさんを加え、より華やかで頼もしく、賑やかになった船旅を、改めて振り返ってみたいと思います。
Tr.1 ヴォヤージュ -希望の船出-
1曲目の「ヴォヤージュ -希望の船出-」は、多重コーラスから始まる、雄大な海を思わせるエピック風楽曲です。
作詞は久遠真雪さんで、曲先での楽曲になります。
真雪さんといえば、これまでにnil-Glassでご参加していただいた楽曲では、大団円的なフィナーレや、何か心がやわらぐような、ふっとそばに寄りそうような、そんな歌詞を作詞いただくことが多かったのですが、糸織貝さんとのご相談の中で、ここはあえて今までのイメージとは異なる勇壮なオープニングを真雪さんにお願いしてみたい、ということになり、1曲目をご担当いただくことになりました。
楽団そのものにスポットライトを当てるような三人称視点で、そして色々なバックボーンの人々が海の上で楽しく音楽をしている日常を、ということでお願いしたのですが、流石真雪さん、まさにテーマソングともいえるような素晴らしい歌詞を書き上げてくださいました。
ちなみに「リベルタス」は楽団の名前でもあり、船(帆船)の名前でもあるという設定なのですが、あまりにぴったりの歌詞を書き上げてくださったので、この曲は途中までずっと「リベルタス」という仮称で呼ばれていました(アルバムタイトルと混同しそうだったこともあり、最終的には現在のタイトルになりましたが…)。
真雪さんが紡がれる言葉の美しさや、メロディと合わさった時の胸の中に想像をかきたてる力はぜひ歌詞カードを見ながら味わっていただきたいところなのですが(歌詞が「光」から始まるとか天才の所業だと思うんですがどうですか…あと個人的に「船よ~」「仲間~」のブロックの歌詞が最高に好きです…)、実はこの曲でふんだんに使われている架空言語コーラスの言葉も、全て真雪さんに考えていただいたものになります。
そう、歌詞カードにはほんの一部しか記載されていないんですが、実は途中からずーーっと架空言語をメロディの裏で歌っていたのです…(笑)
イメージとしては、歌詞カード記載箇所以外は、日本語の歌詞と同じ意味を架空言語(=リベルタスの世界の言葉)でも歌っているというような構成になります。
せっかくなので、どんな言葉(音)を歌っていたのかを掲載したいと思います(真雪さん、もし問題があったら教えてください><)
クォオロウォ ケレヤ
ハヴァラヴァ イフィ
メイリヤ ロウォグ
リダリャア ヤシ
ザッラ レジェヴィド シャラヴィヤ
ポワ ベレスド ヴェレディア
イヴィ サラフィナ ハレアウィ
エジャ ユタリア リヴィラフィ
リヴェゼヴァ ヴェレア
トワヴァド レフィ
ヴァルロワ リディシ
ハワロア ヴェジェ
カジャ ルディアド アザオディ
ディノ メジェシェナ ドワリナ
リグ アリディス カディシャヒ
オヴァ ディイラド ユグジア
レヴィディダ ヴェハラ
ヴィアグル アヴォフォ
ワドラゼ リシヴァ
ヒラディリ ハアロ
曲先ということもあり、「ここに架空言語コーラスの歌詞を入れてください」という指定でお願いしたのですが……まあ分量がすごいですね。。。
日本語と合わせると普通に2曲分くらいの歌詞の分量にはなると思います。
本当に無茶ぶりを…と思うのですが、快くご対応いただいた真雪さんには感謝の気持ちでいっぱいです。Ishikawaさんは反省してください
ちなみに私はコーラスの中で架空言語にするならここの部分では?みたいな案出しをIshikawaさんにしたりしていたのですが、かなり多いし架空言語になったとしても同じフレーズの繰り返しかなあなどと呑気なことを考えていました。
フタをあけたら真雪さんの愛がぎっしり詰まっていた…。
であればその愛は余さずいただこうということで、歌いきれるのかちょっぴりドキドキしながらも、楽しく歌わせていただきました…!Ishikawaさんは反省してください
盛り盛りの架空言語もそうですが、nil-Glass曲では多重コーラス曲も珍しめで、特にソロ歌唱でとなるとこの曲がおそらく初めてではないかな、と思います。
私個人としてはこれまであまり声質が多重コーラス向きではないのかな…と(勝手に)思っていたのですが、どうやら単純に重ねる本数が足りていなかっただけかも???という気づきもあったりしました(この曲の冒頭と4曲目の多重コーラスは特定のパート以外は4本ずつ重ねています)(当社比だいぶ盛り盛りしている…)
ちなみに、多重コーラスというと綺麗めで幻想的なイメージ、という印象が強いのではと思いますが、Ishikawaさんからもらったメロディや発音指示から、今作の多重コーラスは迫力や群衆感といったような方向性に寄せています。
楽団員「たち」であることや、船上のイメージが伝わっていたらいいなあと思います。
盛り盛りといえば、1曲目はバイオリンも大変なことになっていたのでした。
船上楽団がテーマということである程度は覚悟していたのですが、なんかずーっと弾いてるんですよね…しかも3パートもある…(笑)
特に大変だったのが冒頭と中盤の速弾きゾーンで、ひたすら16分音符をだかだかしているのですが、速さはともかくとして音形というか運指がだいぶ難しくて…。
一部変更を加えてもらいつつもこのゾーンはもしかしたら無理かも…と収録を後に回してもらったりしたのですが、結果的には収録することに。なぜだろう…(nil-Glass、茨の道をゆきがち)
私が苦しんでいるさまはおそらくインスト版で聞けると思いますので、もしよろしければ…?(ちなみに私は怖くて聞けてないです笑)(もしかしたらスコアでも確認できるかも…?)
そんな1曲目から波乱の(?)楽曲ではありますが、全体としては航海の始まりとしてふさわしい曲になったんじゃないかなあと思います。
ちなみにエピック風と言っているのは、バンドサウンドも見え隠れしているnil-Glass流エピックだからです。
これにはちょっと理由があって、糸織貝さんとのお話の中でも、あんまり「楽団」っぽくない楽器が鳴っているのも「リベルタス」らしいよね、ということになり…とある世界の音楽が忌むべきものとして禁じられた時代という世界観設定でありながら、船に乗って海に出てでも音楽をしようという人たちなので、まあクセの強い人たちですよね…ということと、そもそも地上に「楽団」という概念が基本的にないわけなので、いわゆる私たちの世界の楽団とは違う楽器構成もあえて入れていこうということになったのでした。
そう、彼らが「楽団」と名乗ればそれが「楽団」なのです。
そんなゴキゲンな楽団メンバーですが、糸織貝さんのイラストでは、なんとCDの制作メンバーがモチーフとなったキャラクターが描かれています。
初期のラフの段階では、私と夕季森さんをモチーフにしたメンバーしかいなかったのですが、楽団員がたくさんいるような雰囲気を出したい…という我々のリクエストを「待ってました」と言わんばかりにご快諾いただいて今の形になったのでした。
ちなみに歌詞カード1曲目のイラスト準拠でいくと、
- 中央左、銀髪の女性:夕季森さん
- 中央右、赤髪の女性:オキ
- 画面左、銀髪短髪の女性:真雪さん
- 舵を握っている男性:Ishikawaさん
- 中央右、黒フードの人物:糸織貝さん
- 画面右、ポニーテールの女性:cataclecoさん
がそれぞれモチーフになっています。
ちなみに真雪さんの手元にいる生き物は、nil-Glassの「夢みるエトランジェ」で出てくるねこ、こと、エトランジェちゃんです(ついに名前までついちゃったねえ…)(ごろごろしよ…)
Tr.2 トキメキ à la carte
続いて2曲目となる「トキメキ à la carte」ですが…なんと突然のティータイムワルツが始まりました(笑)
この楽曲は、糸織貝さんからいただいた「船乗りだけど優雅にティータイムを嗜むようなイメージ」というアイデアや、ラフイラストの雰囲気を元に、詞先で私が歌詞を書かせていただいた曲になります。
現代のようなエンジン駆動の豪華客船ではなく、風と波を受けて進む帆船、それを操る船乗りでありながら甲板でパラソルを立ててティータイムを始めてしまう…そんなリベルタスの乗組員たちのことを考えた時に浮かび上がってきたのが、彼らの思う「自由」のかたちでした。
「船乗りならお酒を豪快に!」という考え方も、押し付けないで!とは言わずに、「そういうのもアリかもね」とリスペクトしながら、「だけど私なら…」と言えるしなやかさ。
時代や人々の言う「普通」や「当たり前」を求めるのではなく、かといって「そのままでいいよ」と言うだけの甘い無責任さに逃げるのでもなく。
そこに至るまでの旅路、磨き上げてきたすべて、それら含めて、それぞれが一番素敵に輝いていられる姿こそが、それを選べることこそが「自由」なんだ!というような。
かわいらしい歌詞の中に(私の歌詞には珍しい!)、そんな彼らの姿や想いをいっぱい忍ばせてみたので、じっくり味わっていただけたら嬉しいです…!
そう、糸織貝さんの紡ぎだされる世界は、そこに生きている姿に触れられる感覚があって、本当に最高なのです。
ちなみに「Lu・La・Radina」と「La・La・Redina」には、特に真雪さんの架空言語のような意味はありません。
こういう歌詞、一度書いてみたかったんですがなかなか勇気が出なかったので(どうしても言葉に意味を込めがち)、これもリベルタスのみんなのイメージが書かせてくれた部分だなあと思っています。
そしてこの曲は詞先ということで、Ishikawaさんが後から曲をつけてくれたのですが…まあシャッフルリズムになる気はしていたんですよ。
…ええ、やっぱりシャッフルリズムでしたね。
歌詞の雰囲気やティータイムという設定から楽曲の傾向は予想がついていたので、あとは我が道をゆくリベルタスの面々の性格を汲みすぎて突然途中で変拍子とかに変わるサプライズとかが来なければ…と思っていたのですが、ほとんどの音符がハネていることにびっくりしたこと以外はおおむね想定通りだったのでよかったです(?)
あと、波の上という設定もあるので、編曲の段階で少しだけテンポをゆっくりにしてもらいました。ちゃんと優雅になったでしょうか?
前作の『Bar Bijou Étoile』とはまたちょっぴり違う、Ishikawaさんによるオシャレかわいいサウンドで、ぜひ一緒に午後のひとときをお楽しみいただけたら幸いです!
そういえば、2曲目のイラストの中に1体、お酒のボトルを抱きしめてニコニコしている子がいますね…?
1曲目のイラストと比較すると…あれ?!誰かいないぞ?!!!!(あざらしのんべえのすがた)
Tr.3 月を呼ぶ声 風と往く夢 feat. 夕季森灯
3曲目の「月を呼ぶ声 風と往く夢」は、ゲストボーカルに夕季森さん、作詞に真雪さんをお迎えしてのツインボーカル曲です。
そう、このコラボレーションがね、やりたかったんですよ…。
我々nil-Glassと糸織貝さん、夕季森さんの組み合わせは、過去に一度「Pantalea」のカバー動画でコラボをご一緒させていただいたことがあるのですが(この動画もめちゃくちゃいいコラボになったのでぜひご覧いただきたいです!)、実はその頃から夕季森さんをnil-Glass曲のゲストとしてお招きしたいという構想があり、ついに今回、約1年越しで叶ったという形になります。
夕季森さんの歌声は本当に表現の幅が広く、どんなジャンルにおいても聴き応え抜群なのですが、特に民族調やファンタジー系の幻想的な楽曲を歌われた時の美しさや魅力は群を抜いていると個人的に思っているので、やはりここはもう真雪さんに歌詞をお願いするしかない!ということになりました。
楽曲の方向性については、こちらの曲も糸織貝さんから大変多くのインスピレーションをいただき、事前にいただいた楽曲イメージのラフ画の雰囲気から、月明りの夜のしっとりした感じのツインボーカル曲にしよう、ということになりました(2曲目も3曲目も実質絵先なのです)
そこから糸織貝さんと私で「月を呼ぶ声 風と往く夢」およびアルバム全体の細かい設定を詰めていったのですが…、楽曲をお楽しみいただく際に必ずしも必要な情報ではないので折り畳みで掲載します。
どんとこい!見たいよー!という方は、展開してご覧いただけましたら。
どこかの世界、どこかの海――。
音楽が「悪しきもの」とされていた時代に、大海原を巡る船上楽団の姿があった。
その船の名は「リベルタス」。
「自由の女神」の名を冠するその船で、彼らは今日も生命を輝かせ、自由を奏で続ける――。
音楽は「悪しきもの」?
- 人心を惑わして堕落させるもの、神への叛逆などとされ、それが世間の通説にもなっている。ただし、あくまで時代、世界の体制側による主張であり、我々の世界と同じく、普通の音楽にはそのような力はない。
- 実際には、心を揺り動かすもの、人々を団結させうるものである音楽に対する体制側の警戒感によるもの。また、体制によって制御不能なものであるという点から異能なども排すべきものと考えられている。
夕季森さんモチーフ女性設定
- 楽団員のうちの1人…と思いきや正体は人魚。満月の月光を浴びると人魚の姿になる
- 実は人魚の歌には本当に魔法的な力があったりするが(図らずも体制側の主張が当たっている形)、人魚は誇り高く高潔なので「そんなつまんないことには使わないわ」と思っている
- 人魚であることは恥ではなかったはずなのに時代がそれを許さず、追われ傷つけられ自分に対しても毒のようにそれが沁みてきた時に、リベルタス(と、赤髪の女性)に出会い、「ああ、わたしはこれでいいんだ」と一緒に音楽をする相棒になる
オキモチーフ女性設定
- 楽団員のうちの1人。家族が国の要職に就いており、元々は体制側のマインドをもって生きていたが、ある日、風の異能に目覚めてしまい、そのために故郷と家を出ざるを得なくなって、そこで初めて「自分で選ぶ」ことや「自由」に思い至り、リベルタスへ合流する
- 船の進路を決めるのに役立ったり、追っ手をまいたり、今は便利に能力を使っている
- 追われていた人魚を嵐を起こして助けたことをきっかけに、一緒に音楽をする相棒になる
設定をもとにIshikawaさんが作曲、その後真雪さんに曲先での作詞をお願いしました。
この曲も1曲目と同様、架空言語も含めて全て真雪さんの詞になります。
最初は月と太陽というような対比的なイメージにする案もあったのですが、夜の海というイメージや、真雪さんからも設定をふまえて月と風の歌にしたい、というご提案があり、今のような形になりました。
この真雪さんが書いてくださった歌詞が本当に素晴らしくて…Ishikawaさんの楽曲とも相まって、まさに月照らす夜の海、その波と静けさの中に浮かび上がる2人の姿を見事に描き出してくださいました。
私は、夕季森さんソロの1番Aメロの歌詞を最初に拝見したときに、なんて美しい言葉たちなんだろうと感嘆で胸がいっぱいになりました…いつかはこんな言葉を紡げるようになりたい…。
あと、私は「風のギフト」という言葉がとても好きです。
真雪さんの世界への向き合い方、そして眼差しがぎゅっと凝縮されているようで…。
そして夕季森さんの歌声!
まるで月の雫の具現化であるかのような、気高く、麗しいお声は、まさに我々のイメージ通りであり、また想定を軽々と越えていくものでした。
本当に夕季森さんのお声には、何か「力」があるんじゃないかと感じさせてくれるような…。
そんな夕季森さんとご一緒できることの喜びをかみしめながら、ちゃんと「仲間」として横に並び立てるように、自分にできる最大限の力で歌わせていただきました(が、どうだったでしょうか…?笑)
実はこの曲、元々はここまでの多重コーラス曲になる予定はなかったのですが、「いい曲なので…」と夕季森さんからありがたくもコーラスアレンジのお申し出があり、大幅にパート数やトラック数を増やして今のような形になりました。
本当にもうこれはコラボの醍醐味で…受け身ではなく、一緒によいものを創り上げようとしていただけること、そういった関係性であることがなんて幸せなんだろうと思っていました!
ぜひぜひ、夕季森さんプロデュースの素敵なコーラスワークも堪能していただけたら嬉しいです!
(えっ、オキさん?難しいことはできないので歌詞の確認とか和音チェックとかをしていました笑)
ところで、糸織貝さん、夕季森さん、海といえば…?
糸織貝さんによるイラスト集、『糸織人魚』がコミティア150(2024/11/17)にて頒布開始になります!
糸織貝さんがこれまで描かれてきた、そして新しく描きおろされた人魚たちが一堂に会するイラスト集になるとのことで、そのイメージソングを夕季森さんが歌唱されています(制作はnil-Glassではなく我々はただのファンです)
ちなみに、『リベルタス』と『Garden of Nature Piece』もコミティア150の糸織貝さんのスペース「ほしつむぎの礁湖にて」(東6 そ-27a)様で委託いただけけることになりました!(ありがとうございます!)
海の上では『リベルタス』、海の中では『糸織人魚』…どうぞ水と海にまつわる糸織貝さんの世界を存分にお楽しみいただけましたら幸いです!
Tr.4 かざなみの揺夢
本作最後となる4曲目は「かざなみの揺夢(ゆめ)」です。
作詞はcataclecoさんで、詞先でのお願いとなりました。
リベルタスの面々が志向する「自由」は「freedom」ではなく、自ら勝ち取る「liberty」。
一方で、その在り方はやはり世間とは大きくかけ離れていて、それゆえに彼らは大海原を航海することになっているわけです。
けれど、彼らの奏でる音楽や歌は海風に乗り沿岸の街々に届いていって…それは「普通」の人々にとっては波乱というか、嵐のようなものですが、その巻き起こされる情動、その中にこそ船上楽団「リベルタス」が届けたいものがあるのです。
…というような内容を、まさにそのシーンの光景が目の前に広がってくるような名文・名詩で過不足なく表現してくださったcataclecoさんの素晴らしさといったら…。
cataclecoさんの書かれる歌詞は、まるで一つの物語を紡いでいるかのような、緻密な構成と鋭く深い語彙力に裏打ちされた「物語る力」を持ちながら、音や韻としてのおもしろさといった音楽としての粋さも兼ね備えていらっしゃると感じているのですが、この「かざなみの揺夢」でもそんなcataclecoさん節を存分に味わうことができるのではと思います。
ちなみに私は、特に歌詞中の波や海の表現、そしてCメロの歌詞がとっても好きです。
「かざなみの揺夢」というタイトルは、「かざなみ」はcataclecoさんから、「揺夢」は私からご提案させていただいたものになります。
「かざなみ」という言葉…ぜひ辞書などで意味を引いていただきたいのですが、まさに4曲目を表す上でこれ以上ない言葉だなあと思っています。
そして「ゆめ」についてですが…、真雪さんがタイトルをつけてくださった3曲目の「夢」は、夜に見る美しい夢であり、リベルタスの面々が感じている今現在の幸せを。
4曲目の「揺夢」は、リベルタスが奏でる音色が、未だ芽吹かぬまどろみを導く揺籃であるように。
というわけで、同じ音ではありますが、ちょっぴり意図を変えていたりするのでした。
楽曲については、エネルギッシュなエピック風ロックということで、多重コーラスの引用フレーズなどで1曲目からの流れを感じさせつつ、吹き渡る風や波、そして「自由」への想いによりフォーカスしたようなものになりました。
私自身も、制作当初は多重コーラス×エピック×ロックって一体どうなってしまうのだろう…と頭に?マークをいっぱい浮かべていたのですが、結構面白い形になったんじゃないかな…?という気がします(純粋なファンタジー系音楽の人からは出てこない発想だと思うので、Ishikawaさんらしさというか、冒険はしつつもしっかりnil-Glassの音楽になったなあと…)
歌としては、メインメロディはロックっぽさに寄せつつもエピックの枠から逸脱しすぎないように、一方でコーラスパートは1曲目よりもさらに迫力や勢いを感じさせられるように…してバランスをとろうとしてみたつもりなのですが、その結果はいかに…?笑
(実は、サビ裏コーラスの高音パートは、その一環で私が足させてもらったパートだったりします)(そして不用意な高音で自分の首をしめるまでがセット)
ちなみに、この曲は当初、ストリングス系はすべて打ち込みの予定だったのですが、Ishikawaさんにお願いして最初と最後の部分はバイオリンで弾かせてもらうことにしたのでした。
Ishikawaさんの配慮だったんですけどね…2パートで動くフレーズがすごく良かったので打ち込みにするのがもったいなくて…特に下パートの情緒的な音形が大好物なんですよ…というわけでめでたく全曲バイオリンも完走することになりました(どうしてこうなった笑)
でも、Ishikawaさんや真雪さん(からいただいたご感想)からは特にラストのバイオリンが好評だったので、自分の直感に従ってみてよかったなあーと思います。
そんなこんなで進んできたライナーノーツでの船旅ですが、お楽しみいただけましたでしょうか?
結局のところ、リベルタスの楽団メンバーも、こちらの世界の私たちも、抱いているのは「音楽は楽しい!」「創作って素晴らしい!」という、同じ想いなんじゃないかなあと思っています。
そして、その想いさえあれば、あなたもリベルタスの一員です。
ようこそ、リベルタスへ!さあ、一緒に楽しい航海へ!!!