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【Bouquet-七色のコンチェルト-】「花雪」について

こんにちは、空華オキです。
今回は春M3で参加させていただいているnanamiさまの歌みたコンピ「Bouquet-七色のコンチェルト-」から、担当曲の「花雪」について書かせていただこうと思います。

▼「Bouquet-七色のコンチェルト-」についてはこちら

原曲の「花雪」はルカさん&リンちゃんのデュエット曲で、霜月柊さまがルカさんパート、私がリンちゃんパートを担当しています。「花雪」にはいくつかバージョンがあるのですが、今回はこちらの2017 ver.をベースに歌わせていただきました。

「花雪」との出会い

初めて「花雪」と出会った時の感想は、「なんて綺麗な曲なんだろう…」「ルカさんとリンちゃんの声ってこんなに合うんだ!」…そして、「この曲、絶対に難しい」でした。
ミドルテンポのバラードで、音形的にも超絶技巧ということもなく、nanamiさまの他の「歌ってみろ」系楽曲に比べれば比較的歌いやすい曲調なのではないかと思います。

メロディをなぞるだけなら。

音楽あるあるだと思うのですが、「ゆっくりで、シンプルな曲ほど難しい」。
まさにそのことを投げかけられたような気がしました。
ただ歌うということから離れて楽曲を見つめ直したときに、この美しい和風バラードをどう歌ったらいいのか…その答えが出ないまま、強烈に惹かれながらも、期限ギリギリで「花雪」を希望曲から外してnanamiさまにご連絡しました。

その後、まさかnanamiさまから「花雪」のご提案があるとは思わず。

担当曲が決まった経緯は前の記事で書いた通りなのですが、「花雪」のご提案をいただいた時、極めて純粋な反応として「来たか!」と思いました。
もう一曲の「Alma-きみという羅針盤-」のみを担当するという選択肢もありました。
一方で、こんな運命的な巡り合わせの中で「花雪」から降りれば、きっと悔いが残るような気もしていました。

迷って迷って、参考音源も色々聴かせていただいて――「花雪」も担当させていただこうと肚を決めました。

「花雪」の歌詞世界

さて、肚は決めたものの、どう「花雪」と向き合うかという問題は残ったままでした。
nanamiさまの楽曲はシリーズものも多いのですが、「花雪」は単独の楽曲(おそらく)。
そこで、私は、解決策を歌詞に求めました。

ここで歌詞を…と思ったのですが、せっかくなので2010年のオリジナルバージョンの「花雪」をご覧いただきながら、耳半分(目半分?)で以下お楽しみいただければと思います。

さて、歌詞に着目して楽曲に向き合っていくと、すぐにこの曲が少し意外な構造をしていることに気づきます。
この曲はルカさん&リンちゃんのデュエット曲なのですが、実際には1人の女性(または異なる場所にいる似通った境遇にある2人の女性)が「愛おしき君」に向けて歌っているという歌詞になっています。
つまり、旋律上は歌い交わしているようであって、ルカさん&リンちゃんはそれぞれに向けては歌っていないのですね。

であるならば、おそらく一つのアプローチとして、歌詞世界中の感情を細かく掬い取っていくのが方向性としてあり得るのではないかと考えました。

なぜ満開の花ではなく散る花に、降り積もる花に視点があるのか。
独り漕ぎ出でる夜の水面の静寂はいかばかりか。
うららかな春と、記憶の中の温もりと、わが身の想いのコントラストは。
曲が展開していくにつれて、歌詞世界の感情がどのように変化していくのか。

「花雪」はどこをとっても本当に美しい歌詞で、機会があればぜひじっくり詞全体を声に出して味わっていただきたいのですが、私は「花雪の報せ降る」という一節を見たときに、ああ、この方には敵わないな…と思いました。
次のフレーズで何が起きたのかは語られるのですが、何が起きたか分からなくても、この一節だけで情景の美しさと緊迫感が胸に差し込まれてしまう。
――nanamiさまは、なんて歌詞を書かれるんだろうと思いました。

(お察しだと思いますが、ただのファンです)

化学変化ってすごい

さて、ここでご一緒した霜月さまとのお話を少し書かせてください。

「花雪」は、リンちゃんパートの私が先、ルカさんパートの霜月さまが後という順番での収録でした。
先行した私が上記のように感情バリバリの解釈をしていたので霜月さまは本当に歌いにくかったと思うのですが(原曲のボカロとはかなりアプローチが違うので)、たおやかな色気と儚さのあるとても素晴らしい歌声で寄り添ってくださり、聴くたびに何度もハッとさせられました。

霜月さまと私、それぞれの歌声の方向性は全く異なるにもかかわらず、合わせた時の相性の良さは本当に絶妙で、片方が内面をじっと見つめるときには片方が彩りを与え、片方が感情を発露させるときには片方が曲として揺らがぬ支えになりと、詳しく打ち合わせをさせていただいたわけでもないのに、まるで綿密な計算をしていたかのようで、こんなことがあるのか…と…(語彙力が足りない)

哀切の念の表出と、内心での深く静かな想いの調和という形で一番これが鮮やかに出ているのが、ラストのサビの部分かなと思います(試聴では聴けないのですが…)。

改めて、霜月さまあっての今回の「花雪」だなとひしひしと感じております。

ご一緒してくださった霜月さま、その出会いと大切な曲を歌わせていただく機会をくださったnanamiさま、そして方向性の異なる歌声を根気強くMIXしてくださったperieさま、本当にありがとうございました!

ぜひフルでも「花雪」をお楽しみください!!

(※この記事の内容は私個人の感想・解釈にもとづくものであり、nanamiさまの公式見解とは一切関係はありません)

次回→「Alma-きみという羅針盤-」について

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