こちらは、2023秋M3新譜『Garden of Nature Piece』のライナーノーツページです。
各曲のネタバレを含みますのでご注意ください!
アルバム全体の紹介記事はこちら↓
それでは以下、ライナーノーツ(空華オキside)をお楽しみください!
【Ishikawaさんsideはこちらから】
Tr.1 深潭への誘い手
「深潭への誘い手」は、ボカロ民族調曲投稿祭で京町セイカさん版を先行公開していましたが、実際にはこのアルバム『Garden of Nature Piece』の1曲目として元々意図されていた楽曲でした(なので、今作の空華オキ歌唱版がオリジナルといえるかもしれません)。
作編曲、作詞は、セイカさん版と同じくIshikawaさんが担当しています。
このアルバムには庭園や植物をモチーフとした楽曲が収録されていますが、1曲目の「深潭への誘い手」はまさしく、迷える者を庭園や深い緑の世界に誘いたい、という趣旨の楽曲です。
アートワークをご担当いただいた糸織貝さんにも、美しくも何か恐ろしさもあるような世界に誘っていただきたい、というようなことでジャケットイラストをお願いしたのですが、多分に「深潭への誘い手」とリンクする要素を描き出していただきました。
美しく神秘的な雰囲気をたたえたジャケットの女性ですが――なんとCDブックレット中の各曲イメージのワンポイントイラスト(もはやワンポイントというよりどれも1つの完成された挿絵ですが…本当にありがとうございます…)では、雰囲気が一変!人ならざる者としての姿となって、もはや戻れぬ道へと訪れた者を招き入れます。
(この突然の豹変感、私はとっても大好物です!!)
というわけで、歌やコーラスについても、木々の深さが醸し出す空気や、美しさと恐ろしさの両面を何とか表現できたらいいなあなどと思い、セイカさん版とは異なるアプローチを試みたりしてみました(セイカさん版はどちらかというとIshikawaさんのフレーズの持つグルーヴ感に振って、よりロック的な気配になっていたかと思うのですが、私の方はどちらかというと歌詞やフレーズの持つ色合いのようなものに着目してみたつもりです)。
特にサビの後ろで鳴っているコーラスは、「森の声」のようなつもりで、ちょっとおどろおどろしくも聞こえるような感じを意識してみたのですが、どうだったでしょうか?
ちなみにラストのスキャットのような箇所は、人外感(?)を出せたらいいなあと思い、異なる発声で歌った同じフレーズを重ねてみています。
さて、この「深潭の誘い手」、一応民族調ロックと言い張ってはいるのですが、むしろ民族調っぽい要素とロック要素がバトルしている楽曲といったほうが正確な感じもあり…?
その最たるものが、間奏のバイオリン&ギターソロパートかなと思います(笑)
バイオリンは一生懸命民族調というかファンタジー要素のある旋律を弾いているのですが(特に後半)、その横でギターソロはごりごりのロックをしているという…なぜこの2つの旋律が同時に動いて楽曲として成立するのか本当に不思議で、Ishikawaさんの頭の中はどうなっているのかと思うのですが、木々にの群れに飲み込まれて天地も正体もなくしていくような気配があって、個人的にはとても好きな部分です。
ちなみに、「深潭の誘い手」では歌詞中、庭というより森が舞台になっていますが、正式タイトルが決定するまでのこの曲の仮称は「樹海さん」でした(最初から帰さない気満々)。
アルバム全体の構成としては、深い森に入っていくと、その先で不思議な庭園に辿りつき…というようなイメージです。
Tr.2 Road of Thorns
「Road of Thorns」は過去にIshikawaさんがリリースした同名楽曲の空華オキ歌唱バージョンになります(オリジナル版はIshikawaさんがSounds Cocktail名義で出した最初のアルバム『Evanescent but Vivid Moments』に収録されています)。
今回、nil-Glass版としてアルバムに収録するにあたり、ギターやベースを新録したり、コーラスを追加したりと、リメイク版的な装いになりました。
作詞は、オリジナル版と変わらずIshikawaさんです。
実は今作の楽曲の中で一番最初に収録が決まったのがこの「Road of Thorns」になります(前作の制作中から、この曲をnil-Glass版として出したいね、という話をIshikawaさんとしていました)。
この曲からの発想で、迷いの森のようなイメージ、そして「庭園」というアルバムコンセプトに繋がっていったのでした。
糸織貝さんに描いていただいたイラストも、まさに棘(いばら)に深く飲み込まれてしまいそうな雰囲気になっていて――糸織貝さんにはそこまで細かく背景的なご説明はしていなかっただけに、糸織貝さんの洞察力の鋭さにIshikawaさんと感動しあっていました…!
さて、nil-Glass版として私が歌うにあたり、どうしようか、ということになったわけですが…。
オリジナル版は歌唱もIshikawaさんが担当していたこともあり、この楽曲、完全に男性ボーカル向けなんですよね。
なので、キー変更も視野に入っていたのですが、やっぱりオリジナル版の調性のイメージを崩したくないということもあり(私の妙なこだわり)、オリジナルキーでチャレンジすることになりました。
そうなると一般的な女性ボーカル的にはちょっと低めにはなるので、華やかさは出しにくくなってしまうのですが(AメロでA3が連発)、オクターブ上げをするとサビでB5を出さないといけないというジレンマに陥るという…(笑)
というわけで、オリジナルキーで歌いつつ、サビにオクターブ上をベースにしたコーラスを入れる、という折衷案に落ち着いたのでした(B5は回避できましたが、きっかり2オクターブは歌いました)。
ちなみにコーラスパートは、Ishikawaさんからもらった原案をベースに、ハモ感を減らしてよりコーラスチックな音の運びになるように私の方で一部手を加えさせてもらったりもしました(歌っていて大変楽しかったです)(本当にコーラスのオキさん異様に楽しそう…)。
Ishikawaさん歌唱のオリジナル版ではボーカルは浮遊感のある音作りになっていたのですが、今回のnil-Glass版では女性が男性キーを歌うということや、上にコーラスが加わることを考えて、ハードロックな曲調をそのまま受けた重ための声質で歌ってみました。
女性が男性曲を歌うというある意味制約から生まれたコーラスとのボーカルパート構成でしたが、「僕ら二人」感を表現しつつ、Ishikawaさんの歌詞世界の厭世的でダウナーでありながら、どこか胸の奥で光を希求するような雰囲気により近寄れたんじゃないかなあ(近寄れていたらいいなあ)と思います。
Tr.3 any madness end
3曲目の「any madness end」は、作詞の悠貴さんをゲストにお迎えした楽曲になります。
悠貴さんとは、私は以前悠貴さんのサークル、RoyReineさんの『或る宵の滲散歌』という1つの歌詞に複数の作曲家さんが曲をつけるというコンセプトの作品でご一緒させていただいたのですが、その時に美しく情緒あふれながらも、言葉遊び的な洒脱さの中に何か鋭さのようなものもはらんでいる悠貴さんの歌詞世界に一目惚れしまして、いつかじっくりと作品の中でご一緒したい!とずっと思っていたのでした。
今回、悠貴さんに勇気を出してラブコールさせていただいたところ、嬉しくもご快諾をいただき、念願のコラボが実現する運びになりました。
そんな経緯もありまして、こちらの「any madness end」は悠貴さんの詞先で作られた楽曲になります。
作詞にあたり、悠貴さんにお伝えさせていた楽曲のテーマは「アネモネ」。
糸織貝さんのジャケットイラスト裏面の庭園や、楽曲イラストにもアネモネの花が登場しています。
一見するとアネモネとはあまり関連がなさそうな雰囲気ではありますが、歌詞の中にある英語の大文字部分を並び替えてみると、ある花言葉が浮かび上がってきて…?
これ、nil-Glass側からは本当に「アネモネ」というテーマと、ゴシックロックという曲調のイメージしか悠貴さんにはお伝えしていないんですよ…。
それなのに、こんなに雰囲気満点で格好よくて仕掛けまであるお洒落な歌詞を…しかも爆速で書き上げてくださって(テーマをお伝えしてからフル歌詞になるまでわずか数日でした)…。
作詞家さんって本当に凄いな…と心から思いました…。
どこもかしこも好きなところだらけですが、個人的には「終の遊戯(ついのゲーム)」「現実を嘘蝕み(リアルをうそむしばみ)」という言葉が特にお気に入りです。
そんな最高の歌詞をいただいて気合の入ってしまったIshikawaさん、やはり詞先だと普段開かない曲想の扉がいっぱい開いてしまうようで――Bメロの頭で8分のテンポできれいな5度の跳躍を始めた時にはどうしようかと思いました(笑)発声練習じゃないんだから。
悠貴さんからいただいた歌詞が、狂ってしまった世界での純愛(ただし狂ってしまったのは世界なのか自分なのか)的な世界観だったので、ボーカルもちょっと精神的に不安定な感じとか切実さっぽい感じを出せたらいいなと思って色々と試行錯誤してみました(結果的に悠貴さんとIshikawaさんから「メン○ラオキさん!」って喜ばれたのは良かったのか悪かったのかwww)。
バイオリンパートもちょっと狂った感じというか、狂う寸前の危うい感じを出せたらいいなあと思いながら弾いてみました(中盤のCメロ前の間奏パートでは早いフレーズでちょっと発狂しかかっちゃってましたけども…笑)(でもこの間奏、とっても好きです…Ishikawaさんいいメロディ書くなあ…)。
狂うと言えば、楽曲の冒頭の演出もIshikawaさんの「狂った世界」のイメージによる演出なのですが、途中で鮮明になるのが逆にどちらがおかしいのかわからない感じがして楽曲の解釈に合ってるなあ~~~と思っていました。
(ちなみに、mixからマスタリング作業に移行しようとした時に、DAWが暴走して曲中のピアノがずっと狂った音源が書き出されるというおもしろ事件が発生しました)(えっ、狂いが足りないって?!勘弁してください!笑)
Tr.4 花に、生きる
4曲目の「花に、生きる」は、私が作詞を担当させていただいたミディアムテンポの和風ロック楽曲です。
ここまでの3曲が比較的ハードめな世界観の楽曲が続いたので、中盤の箸休め的な転換と、これまでの3つの世界観に対するちょっとしたアンサーソング的なことも意識しつつ作詞をしてみました。
一方で、春の桜の季節に聞いても違和感なく楽しめるような感じにもしてみたつもりです。
と書くとすんなり作詞できたように見えるかもしれませんが、相も変わらず大苦戦しながらの作詞になりました…。
前も後ろも素晴らしい作詞家さんの歌詞に囲まれてとても緊張しています。本当にここに配置してよかったのだろうか…(笑)
ちなみに、この曲はIshikawaさんの曲先で作詞しました。アルバム楽曲の中で、歌詞を入れての大枠の完成が一番最後になったのはこの曲だったりします…。
この曲は、元々「桜」をテーマにしようということは決まっていたのですが、私自身、桜にとても思い入れがありまして…。
もちろん桜の花そのものも好きなのですが、私が幼いころからずっと好きな、桜の名前を冠する作品があって――音楽そのものに興味を持ち、歌や合唱を始めたきっかけでもあり、おそらく私の人生の比較的大きな部分を構成している作品でもあるのですが…せっかく「桜」をテーマにした歌詞を書かせていただく機会をいただけたなら、ということで、極めて個人的なテーマとして、その作品のエッセンスもほんのり歌詞に含ませてみました(自分で歌うならいいよね…ということで…)。
ほんのりとはいいつつ、作品ファンならすぐに気付かれそうではありますが…!(笑)
あと、影響を受けたといえば――比較的最近刊行されているシリーズの、四季の名前を冠するとある小説があるのですが、そこに描かれていた「それでも生きる」というテーマを見た時に、あっ、この曲の立ち位置はこれだ、と自然に決まった気がします。
同時に、このアルバム全体を通貫するテーマも、きっとこれなのだろうと直感しました。
これまでの出来事も歩みも想いも否定することなく、一度その足を止めたとしても、深く迷うことがあったとしても、あるいは一度別れても――また出会い、結び、再び歩いていくために。
季節が巡るように、何度でも、何度でも。
糸織貝さんに描いていただいたイラストにも、歌詞からそんな願いを汲み取っていただいたようで――私は個人的にとても胸を熱くしていました(ちなみにnil-Glass的には蝶と猫の組み合わせも激熱でした…糸織貝さんには何もお伝えしていないのに…予想外のサプライズに泣きそうになりました)。
と色々と書いてみましたが、nil-Glassには比較的めずらしい和風曲を、気軽な気持ちで楽しんでいただければうれしいです!
私は和風曲(特に和風に何かの要素がプラスされた曲、和風ロックとか)が大好物なので、和楽器要素いっぱいでとってもニコニコしていました!
特に、入りの鈴の演出とか…個人的には何だか生命というか魂を降ろしているような感じがしてすごく好きです!
(Ishikawaさんはこの曲のために和楽器の音源をにゅーぎあしていました)(ありがとうございました…)
Tr.5 愛しい君の名前と feat. Shuka
「愛しい君の名前と」は、ゲストボーカルのShukaさん、同じくゲスト作詞の久遠真雪さんにご参加いただいた、幻想的な民族調(ファンタジー風)楽曲です。
Shukaさんとは、Shukaさんのサークルの作品である『Laxta・El・Lucris ~光と闇の円舞曲~』をはじめ、これまでにも複数の作品でボーカルとしてご一緒させていただいているのですが、まさに「謡(うたい)」と呼称したくなるような豊かで胸を打つ節回しの表現、そして特にアカペラやヴォカリーゼでの神楽舞のような厳粛な祈りを感じさせる歌声など、無二の魅力を持っていらっしゃるボーカルさんです。
また、ご自身でも作編曲、mix、イラストなども手がけられるマルチなクリエイターさんでもいらっしゃいます。
そんなShukaさんとの今回のコラボレーションの話が生まれたのは、今年3月末〜4月頭にかけてオンライン上で開催された即売会、NEOKET4がきっかけでした。
Shukaさんのサークルとは、これまでもNEOKET上でのスペースが近くに配置されることが多かったのですが、この時もかなり近い位置に配置されていたことから、偶然オンライン会場にいらしていた真雪さんも含めてnil-Glassと4人で話が盛り上がり、ぜひコラボしましょう!という流れになったのでした(そして次の作品ですぐにその企みを実行に移すオキさん…)。
アルバムのモチーフが庭園ということもあって、当初は実在する植物をテーマにすることも考えていたのですが、Shukaさんと真雪さんのそれぞれの魅力を存分に発揮していただくには…ということで、植物は植物でも「幻想植物」をテーマにしていただくということで、自由な発想で真雪さんには作詞をしていただき、曲調も民族調やファンタジー要素を盛り込むことになりました。
楽曲の制作は、詞先曲先の折衷のような形で、真雪さんとIshikawaさんの言わば創作コミュニケーションの中で大枠の形が創り上げられていきました(このあたりの話はきっとIshikawaさん側のライナーノーツで触れてくれるんじゃないかと思うのですが、2人がとても楽しそうに、時にはちょっぴり無茶振りをしあいながらやりとりされていたのをよく覚えています)。
大枠完成後、改めてShukaさんをお招きしてパート分けなどをしたのですが、ここでnil-Glassによる無茶振りが再び発生…。
今回、Shukaさんをお招きするということで、絶対にShukaさんのヴォカリーゼ的なソロパートを入れたい、ということを初期から私からの要望として強くIshikawaさんには伝えていたのですが(もはや要望というよりも欲望)、せっかくShukaさんに歌っていただくならShukaさんが一番気持ちのよいフレーズで歌ってもらったらよいのでは…?ということで、何と該当箇所については「好きに歌ってください!」というオーダーを出すことに…(笑)
さらに、Shukaさんがコーラスワークに長けていらっしゃることも知っていたので、ラストのコーラスパートについてもぜひ好きにアレンジしてください、とお願いするという、ゲストとは一体…?というような巻き込み具合のコラボレーションが爆誕したのでした…(あれっこの流れどこかで見た覚えがあるぞ…?)(もしかして:前作の「彷徨の地平」)
でもこの判断は決して間違っていなかった…本当に最高なソロ、そしてコーラスアレンジをありがとうございました!!!
収録についてはShukaさんに先行していただき、私が後から、という形をとらせていただいたのですが、Shukaさんが天の守り人のようなとても素敵な歌声をお寄せくださったので、これは頑張らねばならんぞ…!と気を引き締めて挑みました。
Shukaさんの表現から、比較的、足の裏からしっかり筋が通っているようなイメージを個人的に受けたので、少し対比的な感じになるように、真雪さんの歌詞に出てくる「夢の花」「愛の花」という言葉や、歌詞の中に描かれている幻想植物の無垢さをヒントに、私の方は基本的に少し甘めで明るい声質になるようにイメージして心がけてみました。
一方で、折角の機会なので「いつもの自分」的な表現でもShukaさんとご一緒したいという欲もあり、ラスサビ直前の私がソロパートになる落ちサビ的な箇所については他の箇所とはあえて少しニュアンスを変えた表現をしています。
そう、実はShukaさんのソロヴォカリーゼとラストのコーラスアレンジ以外はIshikawaさんの作編曲部分なんですよね…。
nil-Glassでのダブルボーカル曲の作編曲も今回で3曲目になるのですが、まるで本当に言葉を交わしあっているかのような歌割り、サビの幻想的な合いの手コーラス、そして架空言語パート…。
Ishikawaさんが順調に民族調(ファンタジー楽曲)の水に染まってきている感があって個人的に嬉しさを覚えつつ、Ishikawaさんの底知れなさを感じました…(本当に「Road of Thorns」と同じ人が書いてます…???)
特に架空言語パートは、真雪さんの言葉の音運びのやわらかな心地よさ、Shukaさんの歌声の表現の素晴らしさも相まって、とても美しく聴き応えのあるものになったと思います…!
ちなみに糸織貝さんには、月の船に花が咲く幻想的で刹那的な、それでいてあたたかみもある幻想植物の姿をイラストに描き出していただいたのですが(糸織貝さんのイラストを拝見したときに「月の根元」という歌詞がスッと自分の中に入ってきて、真雪さんの書かれた歌詞全体がより鮮やかな色付きをもって見えるようになったことを覚えています)、実はジャケット裏面(バックインレイ)に配されている妖精の石像も、こちらの「愛しい君の名前と」の幻想植物をモチーフとして描いていただいたものだったりします。
夜になるとこの石像に秘められた心が羽ばたいて空に舞って、月の船に時を結んだりする光景があったらいいな…などということを夢想しつつ…。
Tr.6 季節の舞うこの庭で
『Garden of Nature Piece』の最後を飾る楽曲は、ゲストの真雪さんに作詞いただいた「季節の舞うこの庭で」です。
この曲は詞先での作詞をお願いしたのですが、「庭園(ガーデン)」「大団円」というような非常にざっくりとしたテーマしかお伝えしていなかったにもかかわらず、本当に素晴らしい歌詞を書き上げてくださいました。(nil-Glass、いつもゲストのみなさまに頼りきりでは???)
いや、改めて歌詞を見返しても、この2つのキーワードだけでこんなにやさしくて温かくて、全てを包み込むようなフィナーレに相応しい歌詞を生み出してくださるの、凄すぎるのでは…?と思います…(ちなみにこの「季節の舞うこの庭で」はアルバム制作のかなり初期の段階で歌詞をお願いしたこともあり、歌詞を書いていただいた時点で、他の楽曲の資料は全くお渡ししていませんでした)
きっと真雪さんのこの歌詞がなかったら、我々nil-Glassは深い森の中をぐるぐると回り続け、永遠に抜け出すことはできなかったでしょう…(Bad End)
糸織貝さんにも、大団円にふさわしく穏やかでやさしい風の香りが漂うような情景をイラストに描いていただきました(ちなみに各曲のイメージイラストについては特にこちらからの細かい指定はせず、糸織貝さんが楽曲から読み取った印象や解釈をそのままモノクロのイラストに落とし込んでいただいたのですが、糸織貝さんの各曲の世界観に対する解像度が本当に高くて、もう感謝しかありませんでした…)。
ちなみに、ジャケット裏(バックインレイ)の噴水まわりの庭園の情景も、この「季節の舞うこの庭で」をふまえたイメージで描いていただいています。
「季節の舞うこの庭で」はどこの歌詞も好きすぎて、もはや一行ずつ推しポイントを語りたいくらいなのですが…。
ここまでの流れを受けての「住処を見つけた樹々の声」って完璧すぎますし…「ひかりを探してる」「ひかりを帯びていく」の対比も素敵だし、Bメロの描写はどちらも胸に込み上げるものがあるし(ここも「それでも、君が生きるなら」のキャッチフレーズにぴったりはまるんですよね…大好きです…)、「土から顔を出して願いは芽吹く」というイメージのみずみずしい美しさ、「誰でも いつでも 来ていい場所」というただ在って受け入れてくれることの喜び、そして極めつけの「ぬくもり煌めくいのちの庭」という表現…。
本当に、毎回毎回思っていることではありますが、真雪さんはnil-Glassが作品を創る上でもはや欠くことのできない存在だな…と強く感じています(完全にnil-Glass3人目と言っても過言ではない…)(ありがとうございます…)
そんな歌詞を受けてIshikawaさんがどんな楽曲を書いたのかというと…。
えっ、もしかしてこれ、(ロックみもあるけどほぼほぼ)爽やか系ポップスなのでは…?!?!
完全に私の予想外の曲調が爆誕していました。
いや、本当に予想外だったんですよ…。てっきり歌詞の内容的に未来に向かっていくような感じのバラードっぽいのが来るのかなって勝手に想像していたので、斜め上だったというか…(爽やか系ポップスって…私がわりと苦手としているタイプの曲調のような…)
どうしようかな~~~~とだいぶ悩んだのですが、明日からまた歩きだすために聞いた人の背中をそっと押せる曲のような、ライブのアンコール曲のような位置づけだと思えば自分の中に落とし込めるかもしれない…ということで、こんな感じの歌の表現になりました。
真雪さんとIshikawaさんには、作品ごとに毎回何らかの新しい扉を開いていっていただいているなあ…と思います(大変ありがたいことですが)。
ところでこの曲、すごくバイオリンパートが盛り盛りだったんですよね…ついにnil-Glassでの一人バイオリン二重奏もやりましたし…(某所での通称オキ×オキというやつ…)
きっとIshikawaさんはノリノリで書いていたんだろうなあと思います…!
おかしい…なぜ今回は5曲もバイオリンを弾いているんだろう…(笑)
とにもかくにも、不思議な庭園を巡る旅、いかがだったでしょうか…?
1曲でも1フレーズでも、何か心に残るようなものがあったなら、とても嬉しく思います…!